相続における不動産の名義変更は、意外と自分ひとりでできる件

不動産の所有権移転イメージ

「土地や建物の名義変更」と聞くと、みなさんはどのようなイメージを持つでしょうか?難しくて素人には無理?確かにそういう場合もあると思います。例えば、土地が共有名義になっていたり抵当権が付いていたり。

こんな場合は、素人では恐らく難しいと思いますし、手を出さないほうが無難です。

「土地や建物の登記」を行うプロである司法書士に任せてしまいましょう。

ただ、流石に専門家というだけあって結構費用はかかるんですよね。

※わたしの知り合いの場合、提示された金額は10万弱でした。。。

決して安くないこの金額、何とか自分で出来ないか?

と考える人もいると思いますので、今回は、意外と自分で出来る下記パターンでの名義変更について、どのように対応していけばよいか書きたいと思います。

【想定パターン(相続)】

● 名義人が亡くなり、配偶者に土地と建物の全部を名義変更する(相続する

土地は分筆されていない

● 借地、借家でない

抵当権は付いていない

赤の他人でなく、子が代理で登記申請する

【補足】

今回紹介する方法は、市が実施していた無料相談で専門家に相談し、且つ法務局でも確認の上実施した一例です。

問題なく処理は完了していますが、プロであれば別の方法でもっと効率よくできる事もあると思われますでのあしからず。

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【日本に登記のプロはどのくらいいる?】

と、その前に現在どのくらいの司法書士の先生が存在しているか調べてみました。

自分でやるよりも、やはり専門家に頼む人もいると思いますので。

日本司法書士会連合会によると、その数なんと22,614人

701もの司法書士法人があります。

※2019年3月1日現在

やはり都市部での登録数が多いようですが、わたしが住んでいる大阪の場合、その数は2,403人となっています。

大阪府の人口が、8,820,255人(2019年2月1日)ですから、約3,600人に1人といった割合。

わかりやすいイメージで例えると、毎年末、紅白歌合戦が行われるNHKホールを満杯にして、その中に1人いる割合になります。

因みに、登記を行うことができるのは、司法書士だけだと思っている方はいないでしょうか?

登記の専門家というと、たしかに司法書士を挙げる人が多いと思いますが、他の士業でも登記を行い、報酬を得ることが出来るプロがいます。

そう、弁護士です。

弁護士は、登記申請の代行業務を行う権限があります。

2019年2月1日現在、弁護士の数は41,172人いるようですので、合わせるとかなりの登記のプロが日本にいることになりますね。

【名義変更をどのようにやっていくか】

「名義変更」という言葉は、一般的に知られたフレーズですが、専門的な言い方をすると、これは「所有権の移転登記」と言います。

今回は相続による所有権の移転登記を想定していますが、作成しなければいけない必要書類は以下の4種類。

※「4」については、相続人名義の預貯金の口座解約時にも使えるので便利です

1.委任状

2.登記申請書

3.遺産分割協議書

4.法定相続情報証明(別記事を参照の事)

委任状におけるポイント

委任状は、インターネット上に例があるので参考にしてもらえればよいと思いますが、一例を挙げるとこんな感じになります。

委任状

代理人 (住所)                              

 (氏名)                              

私は、上記の者に、次の事項に関する権限を委任する。

1 下記の登記に関し、登記申請書を作成する事及び当該登記の申請に必要な書面と共に登記申請書を管轄登記所に提出する事。

2 登記が完了した後に通知される登記識別情報通知書及び登記完了証を受領する事。

3 登記の申請に不備がある場合に、当該登記の申請を取下げ、又は補正する事。

4 本登記申請の複代理人の選任する事。

5 上記1から3までの他、下記の登記の申請に関し必要な一切の権限

平成〇〇年〇月〇日

○○市○○町三丁目11番地

山 田 花 代  印 ※1

登記の目的  所有権移転

原   因  平成〇〇年〇月〇日相続

相 続 人    (被相続人 山田三太郎) ※2

○○市○○町三丁目11番地

山 田 花 代

不動産の表示 ※3

【土地】

所  在  ○○市○○町三丁目

地  番     11番

地  目     宅地

地  積     123.45㎡

【建物】

所  在  ○○市○○町三丁目11番地

家屋番号     11番

種  類     居宅

構  造     木造かわらぶき2階建

床 面 積     1階 25・10㎡

2階 25・00㎡

※1について

ここの印は、「認め」でOKです。

ここに書くのは、相続を受ける人ですので、今回で言うと配偶者になります。

配偶者が、代理人に委任するという書類になるわけですね。

※2について

ここは、「被相続人 ○○(○○は故人の氏名)」と書き、下に相続人である配偶者の住所と氏名を書きます。

印は不要です。

※3について

ここは、土地と建物に分けて記載します。

不動産に関しては、権利証という公の書類が存在し、それを見れば全て書かれています。

因みに、これらの書類がなくても法務局に行けば、記載に必要な項目が書かれた書類を請求することができます。

その名は、「登記事項要約書」。

費用はかかりますが、それでも1、000円弱。

プロに頼む事を考えたら安いものです。

登記申請書におけるポイント

法務局のホームページを見ると、参考例が書かれています。

下記はその一例です。

登 記 申 請 書

登記の目的  所有権移転

原   因  平成○○年○月○日相続

相 続 人    (被相続人 山田 三太郎 )

(申請人) ○○市○○町三丁目11番地 ※1

山田 花代 印

(代理人) ○○市○○町三丁目11番地

山田 次郎 印

連絡先の電話番号 ○○ー○○○ー○○○

添付情報

□登記原因証明情報 □住所証明情報

□登記識別情報の通知を希望しません。 ※2

平成○○年○月○日申請  △△ 法 務 局 △支局

課税価格  金 10,300,000 円 ※3

登録免許税 金 41,200 円

不動産の表示

所   在   ○市○○町

地   番   123番地

地   目   宅地

地   積   123.45㎡

所   在   ○市○町三丁目11番地

家屋番号   11番地

種   類   居宅

構   造   木造瓦葺2階建

床 面 積   1階     25.10㎡

 2階     25.00㎡

※1について

申請人は、今回の場合「配偶者」になるので、その氏名を書き認印を押印します。

代理人は、今回の場合実子を想定しているので、「子」の氏名を書いて認印を押印します。

ここで押印する印は、申請書類をまとめて提出する際の割印としても使うので、間違えないよう(覚えておくよう)に注意して下さい。

※2について

「登記識別情報」とは、昔で言う権利証です。

登記についても、確定申告同様オンライン申請ができるようになっていますが、その流れの中で、平成20年ごろからこの形式(12桁の英数字)の証明に変わっています。

不要であればチェックを付けてもかまいません。

※3について

課税価格」については、役場で発行してもらえる「固定資産評価証明」を申請し、同書類に書かれている土地と建物の評価額を合計して書き込みます。

ポイントとしては、1、000円未満は切捨てするという点です。

登録免許税」については、前述の課税価格(1、000円未満切捨て)に4/1000を掛けた金額を書き込みます。

ポイントは、100円未満を切り捨てるという点。

※切捨てする単位が、課税価格と異なるので注意が必要です。

遺産分割協議書におけるポイント

ほとんどの方は、預貯金など現金資産もお持ちだと思います。

遺産分割協議書と聞くと、全ての遺産を含めて書類にしないといけないと思われる方もいるかもしれませんが、所有権の移転登記を行う上では、該当する土地と建物についてのみの協議書で事足ります

これも一例を示します。

遺産分割協議書

被相続人

山田 三太郎(平成〇〇年〇月〇日 死亡)

最後の住所    〇〇県〇〇市〇〇町三丁目11番

最後の本籍    〇〇県〇〇市〇〇町三丁目11番

登記簿上の住所  〇〇県〇〇市〇〇町三丁目11番

上記被相続人の遺産について、次のとおり遺産分割協議を行った。

平成〇〇年〇月〇日、●● ●●(〇〇県〇〇市〇〇町三丁目11番)の死亡により開始した相続の共同相続人である山田 花代、山田 次郎 2名は、その相続財産について、次の通り分割を協議し決定した。 ※1

1. 相続人 山田 花代は、次の不動産を取得する

【土地】

所 在  〇〇県〇〇市〇〇町

地 番  三丁目11番

地 目  宅地

地 積  123.45㎡

【建物】

所 在    〇〇県〇〇市〇〇町三丁目11番

家屋番号   11番地

種 類    居宅

構 造    木造瓦葺2階建

床面積    1階 25.10㎡  2階 25.00㎡

2.本協議書に記載なき遺産及び後日判明した遺産は、相続人全員がその財産について再度協議を行うこととする

上記協議の成立を証するため、署名押印したこの協議書を3通作成し、各自1通保有する。

平成〇〇年〇月〇日

住所        〇〇県〇〇市〇〇町三丁目11番

相続人        山田 花代 印 ※2

住所        〇〇県〇〇市〇〇町三丁目11番

相続人        山田 次郎 印

※1について

「●● ●●」の箇所には、被相続人の氏名を書きます。

子が複数人いる場合、全員の名前を書き込みます。

※2について

ここで押す印は実印です。

不動産における所有権の移転登記(相続)の場合、提出する書類において実印を押印するのは、唯一この遺産分割協議書だけです。

因みに、この協議書が複数枚に及ぶ場合は、割印が必要になりますが、その割印も実印ですので注意して下さい。

勿論、全員分の実印を押印します

法定相続情報証明

詳しくは、別記事で記載しますが、平成29年5月29日から、法定相続情報証明制度という制度がスタートしています。

これは、ざっくりいうと、今回の相続登記の他、故人の所有していた銀行等の口座を解約する際に必要な戸籍謄本等の書類の代わりになる書類です。

登記や口座解約の場合、謄本等の原本は返却してくれますが、同時並行的に処理を進めようとすると何枚も必要になってきます。

役所は混んでいることも多いですし、1枚数百円する証明を何枚も取るのは費用がかかります。

この法定相続証明は、公(法務局)が相続関係を証明してくれるもので、5枚程度までなら無料でもらえます

銀行等の金融機関でも通用する書類なので、是非活用してください。

※これについては、今後別記事で書いていきます。

【名義変更の提出書類について】

提出する書類を並べる(綴じる)順番は、特に決まっているわけではありません。

一般的には、こんな感じでしょうか。

1.登記申請書

2.印紙

3.委任状

4.遺産分割協議書

5.印鑑証明(相続人全員分)

6.固定資産評価証明

7.法定相続情報証明

「2」の印紙については、法務局の窓口で「登記申請書」に書いた登録免許税の金額分の印紙を購入して、白紙のA4コピー用紙に適当に貼り付ければOKです。

因みに、書き方について前述した「委任状」・「登記申請書」・「遺産分割協議書」は全てA4サイズで作成します。

提出時には、バラバラで持って行き窓口で申請すれば、担当者が順番に揃えてくれるので、敢えてホッチキスで綴じていく必要はないと思います。

提出書類の原本還付

提出書類のうち、上記番号「4」・「5」・「6」・「7」の原本については、ある文言をコピー(写し)に記載することで、返却が可能となります。

その文言とは、

 原本還付

 原本と相違ありません 印

というもの。

※「印」には、申請者の認印を押印します

特に、印鑑証明書は有効期限がないので返却しておけば、また何かの機会に使用することができて便利です。

※3カ月以内に発行されたものでないといけないなど、有効期限を指定される場合もあります。

【まとめ】

今回紹介した委任状・登記申請書・遺産分割協議書のサンプルは、法務局のホームページに行けば参照できるので簡単に作成できます。

司法書士や弁護士といったプロに任せるのも一つですが、記事の先頭に書いた「一般的に多い想定パターン(あくまで相続)」であれば、充分自分一人で対応できます

手間(時間の節約)といった部分では、プロに任せるのも手ですが、時間さえかければ(と言っても大してかかりませんが)素人でも何とかなるので、機会があれば自分でやってみるのも良い経験になると思います。

※わたしは、知り合いの手伝いでやったことがありますが、法務局へ足を運んだのは2回だけ。不備は全くありませんでした。

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