賃上げ要求3%を考える。消費を増やす為本当に必要な事とは?

硬貨いっぱい

1990年代にバブルが崩壊し、そこから「失われた20年」なんて言葉が言われていたのがウソのように、ここのところ景気は上向いているようです(あくまで企業業績がいいだけで個人消費が増えている実感はないですが)。経団連・経済同友会・日本商工会議所の年頭の挨拶で首相の口から「3%の賃上げ要求」という発言がありましたが、このニュースを見て多くの方はどう思ったでしょうか。

わたしは率直に

賃金が3%上がって消費が増えるの?

と思いましたね。まあ多くの方が同じ意見だとは思いますが・・・。

今回は、この3%いう数字について考えてみたいと思います。

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【戦後2番目に長い好景気】

学生時代の勉強で覚えた方も多いと思いますが、戦後日本にはくつかの好景気と呼ばれた時期がありました。

神武景気

期間は、1954年12月~1957年6月の31カ月

1950年に起こった朝鮮戦争によりアメリカ軍への援助物資や兵器類の補修等を請け負ったことによる、いわゆる戦争特需により景気が上向きになりました。

戦後GHPの元で敗戦ムードであったどん底感から、戦前の最高水準まで経済が復活し、「三種の神器」と呼ばれる洗濯機・冷蔵庫・白黒テレビが一気に庶民に普及するようになったのはこの頃の事です。

岩戸景気

期間は、1958年7月~1961年12月の42カ月

神武景気の後、一旦は不景気になりますが外国資本の流入から投資が活発化し、このころ若年者の給料が一気に増えます。今、当たり前にある総合スーパーの走りである「主婦の店ダイエー」が誕生し、総合スーパーとしてチェーン展開しだしたのもこの時期。

バックヤードからワゴンに載せた大量の品物を出すと、その瞬間に多くの買い物客が殺到して空になるというぐらい消費意欲があった時代です。

いざなぎ景気

期間は、1965年11月~1970年7月の57カ月

1964年の東京オリンピックの翌年から始まったこの好景気は、今や販売台数で世界のトップを走るトヨタや、カルロス・ゴーン氏の手腕で復活を遂げた日産などが作り出した大衆向けの車がマイカーとして普及し、カラーテレビ・エアコンを含む「新三種の神器」が生まれ、多くの庶民の生活水準が向上しました。

これにより日本の経済は大きく拡大し、世界二番目の経済大国になります。

そして現在は、上記で挙げた「いざなぎ景気」に続いて、戦後2番目に長い好景気の中にいるようです。

財務省が発表している2017年9月のデータによると2016年度内の企業の内部留保額はなんと406兆円(過去最高!)。

※金融・保険を除く全産業の売上高は前年度比1.7%増で当期純利益に関しては2割近い増加率です。

ここのところの首相による賃上げ要求は、こういった数値から現れているのかもしれません。

【3%の賃上げとは?】

日本に限りませんが、世の中にはたくさんの職業があります。

インターネットの普及により、それまではなかったWebデザイナーやセキュリティ関連の仕事が花形の時代を迎えたかと思えば、最近は人工知能や自動運転、ドローンなど新たな技術が次々と生まれ、それに従事する専門の横文字職業が増えています。

国税庁の平成28年データによると、1年間を通じた給与所得者は4896万人で、その平均給与額は422万円。

一番多い層は年収300万円から400万円だそうですが、勿論業種によって給料の額は大きく異なるので、電気・ガスなどのインフラ系の仕事をしている人と、飲食店で働いている人の給料には大きな差があって当然なわけですが、前述した422万円をベースに考えると、1カ月当たりの給与額は単純計算で約35万円となります。

わたしのような独身者の場合、ここから税金を引かれて手取り額は約30万円前後といったところでしょうか。

という事は、今回の首相の発言により企業側が3%の賃上げに応じてくれると、なんと月9000円も増えるのです!

いやいや9000円て・・・。

確かにないよりはありがたいですよ。年間にしたら10万円近く所得が増えるわけですから。ただ、『月9000円所得が増えたからってどうやって消費しようと!』いう新たなエネルギーが生まれるでしょうか?

まあ間違いなく賢明な方々はその額をそのまま貯金に回すと思います。

経済を循環させるにはお金を回すことかもしれませんが、この程度の賃金アップではわたしたち庶民が景気高揚を実感する日は来ないかもしれませんね。

【賃上げの前に優先すべき事】

当然国を運営する方々の中には、お偉方がいるので色々考え、わかっているとは思います。

わたしたち庶民がお金を使わないのは、将来に対する不安があるからでありそれ以外ないという事を。

北欧のように税金はバカ高くても、老後の面倒は国が責任を持ってみてくれるという未来が約束されているなら、少なくとも貯蓄に回さずに消費するようになり金回りは良くなる。そんなことは百も承知でしょう。

ただそれがわかっていても、将来の安心を国が描けないのは逆に言うと、日本の未来は極めて危険な水準にあるという事の裏返しでもあるのではないでしょうか。

別に不安をあおるわけではないですし、そんな未来は来ないに越したことはありませんが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運営するわたしたちの年金の投資先がリスクの高い株式で運用され、その比率が全体の半分に近いことから、何とかして金を稼ごうと必死になっているのが伺えます。

※GPIFホームページより抜粋
年金運用先種別

GPIFの運用:29年度第2四半期の運用実績はそれぞれこんな感じで、全体としてはプラス収支(下記)。

国内債券  下降

国内株式 ↑ 上昇

外国債券 ↑ 上昇

外国株式 ↑ 上昇

13年度からの累計の収益もプラス62.9兆円と好調に見えます。

しかし、これは異次元で出口のない日銀の金融緩和などの影響もあって、外国資本が入り込んでいるからで、ひとたび歯車がかみ合わなくなれば一気に転落します。

オリンピックが行われる2020年以降なんてどうなるか恐ろしいですね・・・。

兎に角、このギャンブル的な運用を早く脱却し、現実的な方向性を早く示すことが、賃上げなんかよりも最も優先しないといけないことではないのかと思います。

【まとめ】

枝葉末節」という言葉があります。

これは本質的でない取るに足らない事柄を意味しますが、今の政府がやっていることは、というか歴代の政府がやっている事は、目の前のことを何とかすることだけで、根幹の部分はなかなか手を出しません。

いわゆる構造改革というやつですが、既得権益の問題もあるのでしょうか、なかなか前に進みませんよね。

何とかミクスというパクリネーミングはどうでもいいですが、目の前のわかりやすいエサではなく、将来に安心を与える手立てを示してほしいものです。

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