みなさんも一度は利用したことがあるであろう「タクシー」。最近はスマホアプリで呼べる便利なツールが登場し、割引などもあって若い世代を中心に利用が広がっています。
そんな公共性が高いタクシーですが、意外と知らない事ってあるんです。
今回は、誰しも利用する機会のあるタクシーにおける知っておいて損のない事を3つ書きたいと思います。
【タクシー運転手が車内でタバコを吸う行為はOK?】
2020年4月より「健康増進法の一部を改正する法律」が全面施行されます。
この趣旨は、以下のもの。
● 受動喫煙による健康に影響を及ぼす人への特段の配慮
● 施設の類型、場所ごとに対策を実施
これに伴い、学校や病院・オフィスなど多くの人が集まる場所において、屋内での喫煙は原則禁止。
オリンピックの日本開催が、禁煙の流れを加速させた要因のように感じますが、いずれにしても、喫煙者にとっては厳しい環境が整いつつあります。
さて、そんなタバコを吸える場所が少なくなっている昨今、タクシーの運転手さんが車内でタバコを吸う姿を見たことはありませんか?
狭い空間でタバコを吸われると、臭いがこもるので、吸わない人間にとっては拷問でしかないわけですが、あれってOKなんでしょうか?
タクシー事業は、分類でいうと「旅客自動車運送事業」にあたり、タクシー事業の場合は、「一般乗用旅客自動車運送事業」になるのですが、旅客自動車運送事業運輸規則によると、その49条において下記文言による禁止が掲げられています。
” 旅客の現存する事業用自動車内で喫煙すること ”
ポイントは、「現存する」の部分。
現存とは、現実に存在していることを指します。
つまり、お客さんが乗っていない時、例えば休憩中や待機時間中にタクシー車内でタバコを吸っても、同法律上は問題がないわけです。
平成23年、和歌山県のタクシー協会を最後に、全47都道府県のタクシー協会では全面禁煙を謡ってはいますが、参加事業者に対して強制力はなく、また非加盟事業者が存在することもあり、ごく一部では(旅客が現存しない時に)タバコを吸っている運転手もいるかもしれません。
ただ、タクシー会社(協会)が禁煙と謡っている以上は、「現存する・しない」に関わらず、車内では吸ってはいけないというのが常人の見解でしょう。
今回改正された健康増進法では、対象となる施設の中には、タクシーやバスも含まれています。
喫煙される運転手の方には辛い状況かと思いますが、是非今回の改正を機に車内完全禁煙を実施していただきたいものです。
【タクシーの迎車メーターってどういう仕組み?】
「迎車メーター」、別名「お迎えメーター」。
これは、呼んで字のごとく、タクシー会社への配車オーダー時にかかる追加料金のようなもの。
「のようなもの」と書いたのは、完全なプラス料金ではないからです。
※タクシー会社によっては、迎車メーター料金を取らないところもあります
大阪を例に説明します。
大阪の場合、タクシー料金は距離と時間を併用した料金体系となっています。
距離 | 時間 | |
中型 | 2kmまで初乗り 690円(以後261mごとに80円加算) | 1分35秒ごとに80円 |
小型 | 2kmまで初乗り 670円(以後290mごとに80円加算) | 1分45秒ごとに80円 |
※「距離」においては、関係機関への申請により、初乗りが2kmではない会社もあります
ポイントとなるのは距離の部分。
● 手を挙げてタクシーを拾った場合
距離換算は、当然0mからスタートです。
目的地までの距離が、仮に2km未満であったとすると、料金は初乗り分で済みますね(中型で690円、小型で670円)。
● タクシー会社に配車依頼した場合
タクシーの現在地から迎車場所までの距離が、初乗り料金で済む2kmに含まれます。
例えば、迎車場所とタクシーの距離が1km離れていた場合、到着時の料金メーターは、見た目上は初乗り料金(中型は690円、小型なら670円)で表示していますが、距離メーターとしては、走ってきた1kmを内部的に保持した状態となっています。
この場合、目的地が1km未満であれば、初乗り料金で済みます(走ってきた1kmと目的地までの1kmでトータル2km)。
が、トータル2kmを超えると、とたんに料金カウントが上がります。
つまり、走り出してすぐに80円上がるわけです。
この仕組みから、同じ場所から乗って同じ場所で降りても、迎車料金の有無により支払い料金が変わるわけです。
これ、気になるところですよね?
ただ、心配はご無用!
なぜなら、決められた迎車距離以上はカウントしないことになっているからです。
この仕組みを業界では一般的に、スリップ制と呼んでいます。
タイヤがスリップするように、カウントがスリップしてそれ以上カウントしなくなっているんですね。
大阪の場合でいうと、どんなに遠くから来たり、道に迷って到着しても、最大2kmまでしかカウントしません。
※「2km」というのは、あくまで一般的なタクシー会社の場合です
※メーターは、勝手にいじることはできません
因みにこの迎車メーターは、国が認めているものなので、「同じ場所から乗って同じ場所で降りたのに、料金がかなり違う」というクレームは、お門違いとなるので注意してください。
※勿論、乗車後にわざと遠回りされて料金が高い場合は別ですが。。。
【タクシー側に乗車拒否が認められている例】
タクシーが公共交通機関という明らかなエビデンスは、個人的に見つけられていません。
しかし、自治体の中にはタクシーを公共交通機関の一つとして捉え、タクシー協会が地域の公共交通会議に一員として参画しているところもあります。
そんな、公共性の高いタクシーですが、下記のような人は乗車を断られます。
● 不潔な服装をした者
「泥酔」を国語辞典で調べると、『正体をなくすほどひどく酔う事』と記述例がありました。
飲み屋の店員さんが、泥酔して帰らないお客さんをタクシーに乗せて帰らせるという事はよくあると聞きますが、そういうお客さんを押し付けられるタクシーの運転手さんもたまった者じゃありません。
いくら客商売といえども、できることとできないことがあります。
という事で、泥酔した者は乗車を引き受けない(運送の引き受けをしない)事が認められています。
更に、不潔な服装をした者。
こういった人も乗車を拒否できます。
ただ、明らかな見た目の不潔感を持った人ってそうそう見ませんよね・・・。
わたしが知っているパターンは、臭い人です。
信じられないくらい異臭を放つ人がいるとか・・・。
前述した「泥酔」のパターンもそうですが、不潔な服装をした者の続きには「他の旅客の迷惑となるおそれのある者」という記述があります。
タバコ同様、臭いはシート含め車内に染み付きますよね。
タクシー運転手は、次に乗せるお客さんの為に車内環境を清潔にする義務があるわけです。
そういった理由もあり、車内を(視覚・嗅覚的に)汚す恐れのある者には、乗車を断ることが認められています。
タクシー会社には、それぞれ営業エリアがあります。
営業エリア外では当然ですが、お客さんを乗せることができないので、その場合も乗車は拒否されます。
※但し、営業エリア外からエリア内へ行く場合は可能
【まとめ】